2017.10

Shea Butter

奥深い石鹸の世界

実は、とても奥深い石鹸についてお話したいと思います。

人類初の石鹸は、紀元前3000年頃にできたと言われています。

古代ローマ時代の初め、サポー(Sapo)という丘の神殿で羊を焼いて神に供える風習がありました。

この羊を火であぶっているときに、したたり落ちた脂肪が木の灰に混ざり、石鹸のようなものができたのです。

その土は、汚れを落とす不思議な土として珍重されました。

石鹸は、油脂をアルカリ剤で煮るとできますが、熱々の木灰がアルカリ剤の役目を果たしたのです。

英語で石鹸を意味するソープ(soap)は、この丘の名前に由来していると言われています。

国産石鹸の誕生

日本では、1890年(明治23年)に、現在の花王創立者、長瀬富郎氏が国内初のブランド石鹸「花王石鹸」を発売しました。

米1升が6〜9銭で買えた時代に、桐箱に3個入って35銭で販売していたのですから、とても高価なものでした。

庶民が石鹸を使えるようになったのは、明治後半になって、大量生産が可能になってからのことです。

石鹸の製造方法は、大きく分けて2つー機械練り法と枠練り法

石鹸の製造は、主に、機械を使って、短時間で大量生産できる「機械練り法」(「中和法」とも言う)と、枠練り法(「けん化法」とも言う)の2種類があります。

「機械練り法」では、あらかじめ油脂とナトリウムを化合させて作った石鹸素地に、香料や着色料、発泡剤、酸化防止剤などの化学添加物を添加して、メーカー毎の個性をつけて石鹸を完成させます。

原料のほとんどが石鹸素地になるため、石鹸素地以外の美容成分はほとんど加えられないのです。

大量生産でき、ローコストで、泡立ちが良いのが特徴です。

一方、「枠練り法」では、昔ながらの石鹸の作り方です。

シアバターやオリーブオイルなどの油脂と水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を反応させて石鹸素地を作ります。

「機械練り法」の場合、石鹸素地が98%ぐらいを占めるのに対し、「枠練り法」では、60-70%で、

その他の美容有効成分などを足した石鹸を作ることができます。

例えば、毛穴やニキビなどのトラブルを改善する炭やティートリーエッセンシャルオイルを配合したり、

機能的な特徴をプラスすることで個性的で機能性の高い石鹸を作ることができます。

この過程で副産物として、潤い成分、グリセリンが生まれます。

苛性ソーダや苛性カリは石鹸製造に必須なもので、自然乾燥の過程で残留はなくなります。

昔ながらの枠練り法石鹸

乾燥に1ヶ月以上かかり、一つ一つ切らなくてはならない「枠練り法」は、大変な作業で、手間暇がかかります。

大量生産ができないため、コストも高くなりますし、使用する油脂にこだわり、原材料をちゃんと使うと、さらに高価になります。

しかし、こうして、汚れを洗い落とすだけではなく、潤いも与えてくれる石鹸が誕生するのです。

例えば、JUJUBODYのモリンガ&シアバターソープは、完成後は125g程度ですが、枠に流した時点では、200gあり、このうち65%、つまり130gぐらいがシアバターの分量になります。

そう考えると、なかなか贅沢ですよね。シアバターの産地でなければ作れないレシピです。

その後、乾燥させ、あの大きさになります。切断面がツルツルしていないのも、多少のいびつさも、手作りならではの味です。

モコモコの泡が良いって本当!?

モコモコに泡立てて洗い流すのが、肌に摩擦を与えずに良いと見られていますが、モコモコの泡の背景には、発泡剤などの化学物質が入っていることは見落とされがちです。

泡立ちが少ないサラサラとした自然な泡でも、十分に汚れを落とせます。

除菌のしすぎはNG

昨年、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、19種類(トリクロサン、トリクロカルバン他)の殺菌成分を含有する石鹸などの販売禁止を発表にしました。

トリクロサンなどを含んで「殺菌効果」などを謳う石鹸はその実、通常の石鹸と比べても「優れている」とは認めがたく、むしろ免疫系に悪影響を及ぼしかねないというのです。

肌を守る常在菌を殺し、免疫力の低下、耐性菌の増殖につながる懸念があります。

ヨーロッパでも販売が禁止されていますが、日本では、「除菌もできる石鹸」「薬用石鹸」などという触れ込みで、未だに販売されています。

肌トラブル、乾燥が気になる方は、まず、普段のボディソープや石鹸を見直すところから始めてみてください。

その際には、昔ながらの作り方で作られた石鹸をオススメします。