ガーナの料理には、スープやシチューに、未精製のパームオイルがよく用いられます。
西アフリカの料理には欠かせない必需品。
赤いスープは、トマトと赤いパームオイルからできているのです。
彼らは、このパームオイルを、日本人の感覚では信じられないほど、ドボドボ注いで料理を完成させます。
とても美味しいのですが、初めて作っているところを見たときには、そのパームオイルの使用量にゾッとしました。
まるで、揚げ物にするの？というぐらいに使うのですから。
「パームオイルは体に良いんだよ。赤いパームオイルは体にいいからいくら摂っても大丈夫だけど、黄色い精製したパームオイルは体に悪いからダメ」
というガーナ人を、
赤いパームオイルだって、オイルなんだからこんなに摂って体に良いわけないだろうと、私は全く信用していなかったのですが、入院中、転移予防になるようにと、食事療法を調べる中で、彼らの知恵が正しかったことがわかりました。（ごめんなさい）
私が術後に採用することにした中鎖脂肪ケトン食療法は、
ガンのエネルギー源となる糖質、炭水化物を減らし、代わりにタンパク質や脂肪を増やしてエネルギー源とする食事で、脂肪が分解されてケトン体が体内で作られ効果を発揮するというもの。
この脂肪燃焼を効果的にするためにココナッツオイルを１日60-90g摂取することを推奨しています。
炭水化物は、簡単なエネルギー源ですが、エネルギーは脂肪からも摂取できます。
欧米では、病院でもこの食事療法をてんかん治療や末期ガン治療に用いるところもあり、英語で検索すると様々な文献が見つかりました。
私の場合、食事療法自体がストレスにならないよう、
炭水化物を摂る場合は１日１回まで（なるべく玄米などにする）、フルーツはビタミンなども摂れるので、フルーツの糖分は気にしないなど緩やかなものにアレンジしました。
ココナッツオイルを1日60-90摂るというのは、かなりの量で、スープにドボドボ入れて、そのスープを飲んでちょうど良いぐらいです。
そして、実は、ココナッツオイル（これも未精製のものが体に良い）と、この赤いパームオイルは、成分がほとんど一緒なのです。
赤いパームオイルは、未精製のパームオイルで、β-カロテンが豊富に含まれますが、
精製したパームオイルは、黄色で、精製段階でβ-カロテンが奪われてしまうのです。
ガーナ人の言う通り、未精製の赤いパームオイルは、体に良いオイルだったのです。
1930年代に、Weston Price という歯科医がサウスパシフィックを旅して、伝統的な食生活が健康と歯に与えるその効能を検証しました。
ココナッツ製品に依存した食生活が、高い脂肪分摂取にも関わらず、健康的でバランスがとれており、心臓病がほとんど存在しないことを発見したのです。
1981 年にもポリネシアン住民を対象としたリサーチで、同様の結果が American Journal of Clinical Nutrition に掲載されています。
HIV末期と診断された男性が、密林で暮らす部族と寝食を数ヶ月共にし、ココナッツばかり含まれる食事をして戻ったところ、ウイルスがほとんど検知できない値まで下がったという報告例もあります。
つまり、自然に生じた飽和脂肪酸の摂取による有害さは実証されておらず、固定観念化した、油＝有害という概念は、誤りなのです。
ココナッツオイルの脂肪分の５０％は、自然界で発見されるのが珍しいラウリン酸という物質からなっています。
このラウリン酸は、母乳にも含まれる免疫力を高める奇跡の成分と言われています。
パーム油にも含まれているが、ココナッツオイルのラウリン酸含有量が最も多いそう。
ココナッツオイルには、どのような効能があるかというと、
＊心臓の健康を促進
＊ダイエットにも効果
＊免疫力強化
＊メタボリズムを改善
＊エネルギー源
＊肌の健康を促進し、肌の老化を防止
＊甲状腺機能の正常化をサポート
インフルエンザ、糖尿病、癌、HIV、アルツハイマーの予防、進行防止、改善にも効果が実証されています。
日本では、モデルのミランダ・カーがココナッツオイルを愛用しているということで美容に良いと話題になり、ライザッップもダイエットとして、糖質制限食時を採用したことで、糖質を制限する食事の効果が知られるようになりましたが、ダイエットのためだけでなく、糖質制限は、健康のためにも良いのです。
植物油の代わりに、ぜひ、ココナッツオイルを取り入れる食習慣に取り入れてもらいたいなと思います。
ココナッツオイルは、融点が25度ぐらいなので、日本では、常温では、固い状態。
ちょっと扱いづらいと思う方もいるかもしれませんが、炒め物にも良いですし、そのままコーヒーに入れても風味がついて良いですし、夏は、冷たいヨーグルトに入れると、固まって、アクセントになって、また美味しいです。