インドや西アフリカで何千年も前から使われてきた植物油、モリンガオイル。
最近フェムケアの世界でじわじわと注目を集めています。
「天然素材だから体によさそう」——そう思う方も多いかもしれません。
でも、モリンガオイルがデリケートゾーンのケアに向いている理由は、それだけではありません。
実は、科学的な研究によってそのはたらきが少しずつ明らかになっています。
<うるおいを守る「バリア」を補う>
モリンガオイルの成分の約70%は「オレイン酸」という油脂です。
オレイン酸は、私たちの肌がもともと持っているうるおいバリアの材料のひとつ。
肌表面を薄い膜のようにおおって、水分が逃げるのを防いでくれます。
デリケートゾーンの皮膚は、体のほかの部分と比べて皮膚の表面が薄く、乾燥しやすいという特徴があります。
日常的な摩擦(下着・ナプキンなど)や経血、おりものの刺激も受けやすい場所です。
そのため、うるおいを補うケアが特に大切です。
オレイン酸を豊富に含むモリンガオイルは、このバリアを補強し、肌のうるおいをキープするのを助けてくれます。
<肌を修復する珍しい成分「ベヘン酸」を含む>
モリンガオイルには「ベヘン酸」という成分が約6〜10%含まれています。
これは多くの植物油にはほとんど入っていない、モリンガオイルの特別な個性の一つです。
セラミドというのは、肌の細胞と細胞をつなぎとめてすき間をふさぐ役割をする脂質のこと。
デリケートゾーンで肌荒れが繰り返されると、このすき間が広がって刺激を受けやすくなりますが、ベヘン酸はそれを修復する手助けをしてくれます。
また、ベヘン酸には「抗菌ペプチド」の産生をサポートする可能性も研究されています。
抗菌ペプチドとは、肌が自然に持っている菌への防御システムのようなもの。
膣まわりの皮膚に常在する細菌バランスを守る一助になると期待されています。
<かゆみや炎症を静める成分も>
デリケートゾーンのかゆみで悩んでいる方は多いですよね。モリンガオイルには、炎症を和らげる成分がいくつか含まれています。
- ビタミンE:肌の酸化(老化や炎症の原因のひとつ)を防ぐ抗酸化成分。モリンガオイル100gあたり約100〜160mgと、比較的豊富に含まれています
- 植物ステロール(β-シトステロールなど):炎症を引き起こす物質の産生をおさえ、かゆみや赤みを穏やかに鎮める作用があります
- ゼアチン:植物由来の成分で、細胞の老化を遅らせ、肌の回復を助けます
これらの成分が合わさって、刺激を受けやすいデリケートゾーンを穏やかにいたわってくれます。
強い薬ではなく、日常的なケアとして取り入れやすいのがポイントです。
<デリケートゾーンの「pH」と相性がいい>
膣内や外陰部の皮膚は「弱酸性」の環境を保っています。
これはよい菌(乳酸菌の一種)が住みやすい状態にするためで、この環境が崩れると、においやかゆみ、感染症の原因になることがあります。
実は、一般的な石けんはアルカリ性(pH 9〜10程度)が多く、デリケートゾーンに頻繁に使うと菌のバランスを乱すことがあります。
一方、モリンガオイルはほぼ中性〜弱酸性(pH 6〜7付近)に近く、肌本来の環境を乱しにくいことが確認されています。
また、皮膚への刺激テスト(パッチテスト)でも安全性が確認されており、敏感なデリケートゾーンへの使用に向いていると評価されています。
ぜひ、植物の力でデリケートゾーンを労わってあげてください。
参照:Fluhr, J.W. et al. (2018). Emollient therapies and skin barrier function. Br J Dermatol.
Nappi, R.E. et al. (2016). Vulvovaginal atrophy in postmenopausal women. Gynecol Endocrinol.
Vieira-Baptista, P. et al. (2021). Moisturizers for GSM: a systematic review. J Lower Genital Tract Dis.
Leone, A. et al. (2015). Moringa oleifera seeds and oil: composition and uses. Foods