モリンガの前立腺肥大症治療への応用可能性

2017年12月17日にUS National Library of Medicine National Institutes of Health に報告された、 「モリンガの良性前立腺肥大症治療応用の可能性」というレポートを翻訳します。

<実験方法>
3 mg/kgのテストステロンを毎日4週間投与して、前立腺肥大症を併発させたラットに、モリンガを50mg/kg、100mg/kg もしくは、200mg/kgとセレコキシブ20mg/kgまたは、モリンガ50mg/kgとセレコキシブ20mg/kgをテストステロン投与15分前に、毎日服用させ、29日目の血液検査を調べてみた。

<結果>
モリンガは、前立腺重量(20.16%) 、前立腺インデックス(65.85%)、血清テストステロン(72.86%)、前立腺特異抗原(48.49%)において、著しくテストステロンの増加を抑制させた。

マロンジアルデヒド(73%)で顕著な増加をみせたテストステロンは、グルタチオン(62.50%)、スーパーオキシドジスムターゼ(50%)およびカタラーゼ(64%)で減少し、モリンガ・オレイフェラの100mg / kg摂取効果によって減弱した。

テストステロンによる前立腺組織構造の破壊もまた、モリンガ・オレイフェラによって改善された。

<結論>
モリンガは、抗酸化ディフェンスメカニズムの強化により、テストステロン誘発性良性前立腺肥大症を予防した。 したがって、良性前立腺肥大症治療における補助剤として使用することができうるだろう。

<前立腺肥大症について>

前立腺疾患は増え続け、米国では相当数の患者を占めています。

男性11人に1人が前立腺の悪性新生物を発症し、約37,000人が前立腺ガンで毎年亡くなっています。

ヨーロッパでは、前立腺ガンのために年間35,000人以上の死亡が予測されています。

前立腺ガン死亡率は、アンドロゲン依存性アンドロゲン非依存性疾患の進行とともに、骨およびリンパ節への転移に起因します。

新たに前立腺肥大症と診断された患者の50%以上が進行性の転移性疾患へと移行しています。

根治的前立腺切除術、アンドロゲン除去療法単剤療法および放射線療法は、限局性疾患に対して有効であると考えられていますが、患者の生存率を高める転移性前立腺ガンの有効な治療法はありません。

このような治療法が確立していない転移性前立腺ガンへの治療応用に、モリンガが期待されています。


[参考文献]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29248935